野球部3年次生記念試合を観戦して

教頭の窓 第2号

 野球部顧問から耳慣れない名前の試合を教えてもらった。

 県内の普通科高校に通う運動部3年生の多くは、6月初旬の土日が実施中心日である県総体(岡山県高等学校総合体育大会)への出場を最後に部活動から引退し、大学入試に向けた受験勉強に専心することになる。

 その中で野球部の3年生にとっては、7月中旬から開催され、夏の甲子園の地区予選に当たるトーナメント方式の「全国高校野球選手権岡山大会」が事実上の引退試合となる。

 この間およそ1ヶ月あまり。放課後、同じ教室で本格的に受験勉強を始めた友達を背に自分はグラウンドへ。彼らの不安な気持ちは如何ばかりか。

(選手権岡山大会でベンチ入りできる人数は十数名と限られている。自分は出場できるのかできないのか。この時間は無駄ではないのか・・・。)

 この記念試合は、ふだん出場機会の少ない3年次生も数字の若い背番号で出場するものである。この試合にかける彼らの思いは強い。代替の日程は無い。

 試合当日の6月30日夕方は雨。5回表から観戦したマスカットスタジアムでは、ユニフォームを泥だらけにした彼らが最後の戦いに挑み、そして楽しんでいた。結果は接戦の末、10対8で近隣の有力校を降すことができた。勝利を自らの手でつかんだ選手たちの表情は、晴れやかこの上ない。

 試合で勝つことは皆の願いである。しかし、部活動は勝利だけが目的ではなく、これを通じた人間力の成長を期待している。ボール集めに、シートノックの補助に、グラウンド整備に、芳泉高校の選手権大会が終わるその日まで、君たちの力がいま必要だ。流した汗の分だけ大きくなれる。ガンバレ!3年次生。

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