‘教頭の窓’ カテゴリーのアーカイブ

さらなる高みへ

2016年10月12日 水曜日

教頭の窓 第11号

 暑くて熱い夏も終わり、平成28年度後期始業式が行われた。10月7日(定期考査最終日)にはそれぞれの年次で集会が持たれ、生徒たちも後期に向けて決意を新たにしており、どの顔も生き生きとしていた。校長が式辞で述べた「目標達成に向けて自己管理することの重要性」をそれぞれの立場で理解してくれたようである。
 先月行われた「蒼碑祭」での完全燃焼も、彼らの前向きな気持ちに大きく影響しているのかもしれない。何かをやり遂げ、その達成感を次へのエネルギーにして、さらなる高みへ進む。「さらなる高み」、芳泉高校の教員が生徒を指導するに当たり大切にしている合言葉である。もちろん、高みを目指そうとする生徒諸君のエネルギーがあることが前提となる。

 9月15日(木)蒼碑祭の最終日、心配された天候も何とか回復し、体育の部が実施された。3年次生にとっては最後の蒼碑祭。彼らはチームのリーダーとして後輩たちを始終牽引してくれた。その背中を見ながら1,2年次生たちも全力で走り、全力で叫び、全力で楽しむ。芳泉の生徒たちは決して手を抜かない。
 閉会式。表彰が済むと次第に生徒たちにどよめきが広がる。恒例の「教頭コール」である。朝礼台に立つ。取り囲んだ生徒たちの熱気と視線に圧倒される。どの眼も輝いている。足下からすくい上げるように伸び上がる、代々受け継がれてきた作法での「万歳三唱」。
 すべての生徒と教員による、この万歳三唱で今年の蒼碑祭が幕を閉じ、平成28年度も後半戦に入った。各年次生ともに自らの目標に向けて着実に歩みを進めてくれることを切に願う。

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「自律」と「自立」~教頭の窓 第10号~

2016年8月3日 水曜日

 「芳泉ファミリー」の一員となって約4ヶ月が経過した。年次を問わず、生徒たちの前向きな姿勢には心から敬服している。学習に、部活動にと、彼らが全力で取り組む姿は実に眩しいもので、それに加えて廊下ですれ違うたびに投げかけてくれる挨拶と笑顔も私の活力の源となっている。愛すべき若人たちに囲まれ、教員冥利に尽きるとはまさにこのことかもしれない。
 7月の補習も終わり、いよいよ大学受験に向けて夏の陣に突入した3年次生のみならず、1・2年次生もそれぞれの進路実現に向けて着実に歩みを進めている。
 校内においては、開放された教室で黙々と自主学習に打ち込む生徒たち。一方、校外においては、7月29日(金)から2泊3日の日程で「校外学習合宿」が実施された。建部町の研修施設に集った133名が、「自学自習」を基本とした生活の中で「自律」的学習習慣を身に付けるべく、8時半から23時過ぎまで無言で机に向かった。自分自身と向き合いながら。疑問点が生じたら、別室で待機する教員に質問をぶつけてアドバイスを受ける。師弟の足並みを揃えて、「自立」への道を歩むのである。
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キャリア教育の充実に向けて

2016年2月25日 木曜日

教頭の窓 第9号

 子を持つ親にとって気になる数字がこのほど公表された。昨年十月の厚生労働省の発表によると,平成二十四年三月に大学を卒業し就職した若者のうち,その後3年以内に離職した者の割合が32.3%,およそ三人に一人に達していることが明らかになった。この値は,従業員千人以上の一般に大企業と言われる事業所だけについても25%近い数字を示しており,大きな違いは見られない。また,日本のシンクタンク大手である野村総合研究所が,論文「雇用の未来」の著者であるマイケル・A・オズボーン氏らとの共同研究として昨年十二月にまとめたところによると,日本の労働人口のうち49%が就いている職業は,この先十年から二十年で人工知能やロボットで代替できるようになると予測している。一方で,創造性,協調性が必要な業務や非定型な業務は将来においても人が担うとしている。若者はこれから何を目標に,どこに向いて行けば良いのか不安に駆られるのではないか。
 文部科学省は,このような社会の情報化・グローバル化を背景に,自立した社会人を育む教育を充実させるための法整備を早くから進めている。そのうち現行の高等学校学習指導要領は,総則で「学校の教育活動全体を通じ,計画的,組織的な進路指導を行い,キャリア教育を推進すること」と明記し,すべての高等学校でキャリア教育を計画的に推進するよう求めている。
 これを受けて本校では,これまでも職業観の醸成や課題解決能力の伸長を目指した「キャリアガイダンス」,「芳泉ゼミ」を総合的な学習の時間に位置づけて成果をあげてきた。特に今年度は重点目標として「自立・挑戦・発信する生徒の育成」を掲げ,その具体的な事業の一つとして新しい「キャリア教育プログラム」の推進に取り組んだ。
 【一年次】HOSEN「気宇広大」人育成講話
同窓会・PTAの協力を得て,様々な分野で活躍する卒業生等を講師として招いて講話をお聴きした。生徒は希望の講座から職業に就くために必要な心構え・準備を理解した。
 【二年次】校外研修(大学訪問・職場体験)
午前は市内の事業所等を,午後は岡山大学を訪問する研修を実施した。ここでも卒業生のお世話になり,生徒は将来の自分を重ね合わせることによって学習意欲を高めた。
 岡山県にゆかりの深い教育社会学者である広田照幸氏は,就職するに当たっての最大のパラドックスは業務内容全般を把握しないままに選択しなければならない点にあると指摘している。確かに一つの会社に定年まで勤め上げることが貴いという価値観や,有名大学に入りさえすれば将来に亘って身分が保障されるという幻想は過去のものとなっている。とはいえ,これからの知識基盤社会を生きる芳泉高校の生徒には,大学等で学んだ知識や自らの個性を活かしながらキャリアを重ね,自己実現と社会貢献のできる社会人として逞しく成長していって欲しいと願っている。

年度末の総仕上げを迎えて

2016年2月22日 月曜日

教頭の窓 第8号

 学年末の考査を約10日後に控えた2月15日(月)から、二年次と一年次では面談ウィークが始まっている。これは教員の多忙化が叫ばれる中、クラス担任が生徒と落ち着いて向き合える時間を確保する目的で始まった。この週間は、可能な限り放課後の会議等を入れないように呼び掛けており、始業前や放課後の教員室等でクラス担任と生徒との和やかかつ真剣な受け答えが行われている。内容は、目前に迫った最後の定期考査に向けた準備の仕方、志望大学への学力伸長度、生活面での悩み相談等が中心と聞いている。
 一方、三年次は2月25日(木)から始まる国公立大学二次試験に向けた指導が最終段階に入っている。この1ケ月間、生徒は自分が二次試験で必要な科目の講座を選択して受講している。この講座も芳泉高校の習熟度別授業の趣旨を活かして志望大学グループ別に24もの講座が開講されており、教科の筆記試験対策の他にも面接指導、小論文指導、実技指導など、ありとあらゆる指導が年次所属の教員を中心に展開されている。また、生徒もよくそれに応え早朝から最終下校時刻まで、時には土日返上で指導を受けている。
 また、教員の授業改善を目的とした研究活動も仕上げの時期に入っている。2月21日(日)には岡山県総合教育センターで教育研究大会が開催された。ここでは研究協力委員を委嘱された本校教諭の関わった研究成果が、教育関係者に広く伝達された。当該教諭にとっては自己研鑽のため、また岡山県全体にとっては教師の指導力向上のため、大きな成果があったものと思っている。
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※写真は発表会のグループ協議をリードする本校教諭(中央)

もうひとつの芳泉高校

2015年12月10日 木曜日

芳泉高校には現在千名を超える生徒が通っており,日々大学受験を意識した学習をしている。その中にあって,すでに一度受験を経験した34名が高いモチベーションで勉強に励んでいる。ここまで書けば事情をお解りの方も多いように思う。

本校に設置されている補習科は,芳泉高校を前年度に卒業しながら志望大学に合格が叶わなかった生徒のうち希望する者を迎え入れている。生徒をよく把握している教員が中心となって1年限りで彼らに受験指導を行うPTA主催の社会教育講座という位置づけである。市内の高校補習科の歴史は古いが,近年は大学入試倍率の低下やこれに伴う浪人生の減少等の影響を受けて以前より在籍者数が減っている。また,このような組織を持つ県も中四国・九州に数えるほどである。

しかし,芳泉高校補習科は活気にあふれている。生徒の登校も朝早く,出勤の早い教員と同じ頃に制服で自習を始める生活習慣が身に付いている。他校では私服で受講する補習科もあると聞くが,芳泉高校では在校生に準じたものとの決まりがある。一見,在校生と区別がつかないものの,その端正な着こなしから湧き出す余裕によって補習科生と判ることがある。加えて,その場に応じた礼儀作法もよく身についている。教頭席の近くでそれとなく観察していると,現役で大学に合格した若者より人間的に大きく成長しているのではないかと思わせる。また,彼らには自主性も備わっている。毎週金曜日6限のホームルームの運営は完全に生徒達で行われ,その時々に必要な決め事などに時間を充てている。時には息抜きもあるように聞くが,これも当然と思えてくる。生活規定に当たる補習科生心得に次の一文が謳われている。「あらゆる面で在校生の模範となること」

春から夏にかけて時にお互いを「芳泉大学」の生徒と揶揄する様子から,彼らが吹っ切れない感情を持ちながら浪人生活に入ったことが想像される。しかし,今は捲土重来を期して進路志望の達成に向けた努力をひたむきに重ねている。芳泉補習科生に栄冠あれ。

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※写真は,進路指導課長から激励を受ける補習科生

新チーム躍進中 ―運動部の活躍―

2015年9月24日 木曜日

  学園祭のシーズンもヤマ場を越え、秋季の新人大会が各地区予選等から始まっています。

 まず、野球部は8月下旬から始まった東部地区予選のD組を1位で通過し、9月26日(土)から開催される県高校秋季大会の一回戦対倉敷古城池に向けて、現在調整中です。

 次に、サッカー部男子は年末から東京で行われる全国高校選手権の県予選が始まりました。接戦を制しながら決勝トーナメント進出を決め、現在はベスト8を懸けた10月18日(日)の四回戦対就実に向けて練習しています。

 もちろん、他の部活動もスポーツ・芸術の秋を存分に楽しんでいます。生徒たちの活躍にこれからも応援をよろしくお願いいたします。

 (写真は決勝トーナメント進出を決めたサッカー部 カンダグループサッカー・ラグビー場 津山市勝部)

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生徒・職員の命を守る ―防災月間にちなんで―

2015年9月18日 金曜日

 近年の地震・火災等の非常変災から身の安全を確保する防災意識の高まりを受けて、本校では事前の予告を行わない総合防災訓練を年間2回実施している。
 防災心理学の用語に「正常性バイアス」(normalcy bias)という言葉がある。現代人は毎日のように外部から強い刺激を受けている。このため、これが原因となってストレスが生じるケースが多く、高校生もその例外ではない。しかし、これら一つひとつすべてに反応していては心の平静が保てないため、些細なものに対しては心のアンテナの感度を下げて、これは「いつものこと」と認識する仕組みが人間には備わっている。これが「正常性バイアス」で、日々の心の安定を図るために必要な安全装置である。
 しかしながら、非常変災が発生した時には、この「正常性バイアス」が恐ろしい牙を剥くことがある。最近の事例では、2014年9月27日の正午前、長野県御嶽山の噴火によって55名の尊い命が失われている。ある専門家は登山者の一部に次のような心理が働いたのではないかと指摘をしている。「警戒レベルも低いし、たぶん大丈夫だろう。」このように思うことによって心の平静を保ったのではないか、というのである。まさに目の前で噴煙が上がり、火山弾が飛んでいるにもかかわらず。
 それでは、地震や火災から安全を確保するためには、どのように対応すべきか。異常を感じたら直ちに心の「緊急スイッチ」を入れ、非日常のモードで行動することが肝要である。ある研究によると、この非日常モードに瞬時に移れる人はわずかで、およそ9割の人はパニックに陥る、または固まってしまうという調査結果がある。このため、忘れた頃に防災訓練をすることによって心の「緊急スイッチ」の置場を確認することが効果的だ。いざという時に防災訓練と同じ行動がとれるように。  
 この機会に生徒・職員の防災意識がさらに高まるとともに、これからも芳泉高校での生活が安全安心であるよう願っている。

(写真は、昨年の総合防災訓練で起震車の体験をしている生徒)
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この夏の挑戦 -さらなる高みへ-

2015年8月4日 火曜日

 前期の夏季補習が終了し、1・2年次生は授業中心の生活から離れ、各種行事に熱心に取り組んでいる。芳泉高校では7月中は学校での学習に専念させる一方、運動部の合宿や宿泊を伴う体験的行事等は8月に入ってから実施するという申し合わせがある。これは生徒の文武両道を保証する優れた仕組みである。京都大学オープンキャンパスツアー、大阪大学最先端施設見学、富士登山、部活動遠征、部活動合宿等がお盆の頃まで計画されている。生徒はこれらの中から希望する行事に参加して心と体を鍛えている。
 その中で、今年は1年次生(42期生)の動きが目立っている。前述の京都大学ツアーには、大学生活を夢見て80名を超える応募があった。また、今年初めて実施する富士登山には、勇気ある26名が挑戦する。これらの盛り上がりの陰には、年次主任を始め多くの年次団教員が生徒に参加を勧めてくれたと聞いている。
 芳泉高校の生徒は素直で真面目である。このことに疑いはない。しかし、足りないものがあるとすれば、それは野心(ambition)ではないかと感じている。表現が大袈裟と言われればチャレンジ精神と言ってもよい。
 確かに、京都大学合格は叶わぬ夢に終わるかもしれない。日本一の山登りも途中で断念してしまう可能性だってある。しかし、そこに至るまでの努力や苦労は、それに向けて動き始めてこそ経験できるものだ。学校がすべきことは、家庭単独ではできにくいことに触れさせ、生徒の中にある大きな可能性を彫り起こすきっかけを作ることなのではないか。
 

 
この夏、多くのことにチャレンジした生徒達が確かな成長を遂げることを祈ってやまない。

夏を制す -夢の実現に向けて-

2015年7月31日 金曜日

1・2年次生を対象とした校内自主学習が、7月29日から3日間の予定でスタートした。これは学業と部活動を両立させる生活習慣を確立する中で、学校での自学を通して集中力や忍耐力を養うというねらいで実施している。生徒は補習授業のない期間にも関わらず、普段どおり学校に登校し、決まったスケジュールで学習に集中しながら、その前後で部活動に汗を流している。今年の参加申込者は432人を数えた。同一日程によって北区建部町の研修施設で実施している学習合宿の123人を加えると、実に全体の80%を上回る生徒がこの自主学習行事に希望参加していることになる。

一方、今日の新しい授業形態としてアクティブ・ラーニング(AL)が花盛りである。これは従来型の教え込みではない、生徒の主体的な(アクティブ)学び(ラーニング)を促す指導方法を意味している。本校では指導教諭が推進役となり、学校をあげて「進学指導としても効果的なAL」の在り方を研究している。具体的には、各教科担任がグループ学習やペア学習を取り入れたり、ICT機器を積極的に活用した授業を展開したりという取組がなされている。これにより従来型の知識・技能や協働的主体性はもちろんのこと、課題解決に必要な思考力・判断力・表現力を含めた、いわゆる「学力の三要素」をバランスよく伸ばすような学習指導を目指している。

前述の自主学習への参加状況が示すとおり、本校生徒の学習に対する意欲は非常に高い。このため、ALのような新しい学習スタイルへの順応にも優れた特性を示しているように感じる。すなわち、教師サイドからすると生徒の「乗り」が良いために、自分がデザインした授業を思いのままに展開できる幸せを感じることができる。しかしその反面、教師には生徒一人ひとりの学力をその最高到達点まで伸ばすための綿密な教材研究が求められている。

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朝8時25分。校舎西側のカリヨン・ベルの優しい音色が、登校する生徒を今日も温かく迎える。高い志を掲げ、その実現に向けてひたむきに努力をする若者がここに集う。

野球部3年次生記念試合を観戦して

2015年7月1日 水曜日

教頭の窓 第2号

 野球部顧問から耳慣れない名前の試合を教えてもらった。

 県内の普通科高校に通う運動部3年生の多くは、6月初旬の土日が実施中心日である県総体(岡山県高等学校総合体育大会)への出場を最後に部活動から引退し、大学入試に向けた受験勉強に専心することになる。

 その中で野球部の3年生にとっては、7月中旬から開催され、夏の甲子園の地区予選に当たるトーナメント方式の「全国高校野球選手権岡山大会」が事実上の引退試合となる。

 この間およそ1ヶ月あまり。放課後、同じ教室で本格的に受験勉強を始めた友達を背に自分はグラウンドへ。彼らの不安な気持ちは如何ばかりか。

(選手権岡山大会でベンチ入りできる人数は十数名と限られている。自分は出場できるのかできないのか。この時間は無駄ではないのか・・・。)

 この記念試合は、ふだん出場機会の少ない3年次生も数字の若い背番号で出場するものである。この試合にかける彼らの思いは強い。代替の日程は無い。

 試合当日の6月30日夕方は雨。5回表から観戦したマスカットスタジアムでは、ユニフォームを泥だらけにした彼らが最後の戦いに挑み、そして楽しんでいた。結果は接戦の末、10対8で近隣の有力校を降すことができた。勝利を自らの手でつかんだ選手たちの表情は、晴れやかこの上ない。

 試合で勝つことは皆の願いである。しかし、部活動は勝利だけが目的ではなく、これを通じた人間力の成長を期待している。ボール集めに、シートノックの補助に、グラウンド整備に、芳泉高校の選手権大会が終わるその日まで、君たちの力がいま必要だ。流した汗の分だけ大きくなれる。ガンバレ!3年次生。

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