小講演会「幼児期における教育について(デジタル紙芝居を通じて)」(田部永子氏)(’14.7.15)

7月15日(火)放課後、本校図書館にて第1回小講演会が行われました。岡山市立芳泉幼稚園園長・田部永子氏を講師にお迎えし、「幼児期における教育について(デジタル紙芝居を通じて)」と題してご講演いただきました。

講演前にはデジタル紙芝居の上映、講演後には制作に携わった美術部員・放送文化部員を交えたディスカッションが行われ、表現することや幼児教育に興味がある生徒はもちろん、地域連携の成果を目にする機会が少なかった生徒にとっても充実した時間となりました。

デジタル紙芝居「にんにん忍者」視聴

まず、芳泉幼稚園児の描いた紙芝居を本校美術部、放送文化部の部員がデジタル紙芝居にしたものを視聴しました。幼児の描いた素晴らしい絵がデジタル紙芝居となって動きがあわさることで、より見応えのあるものになっていました。

遊びの中から学ぶ

幼稚園は、教育活動として「遊び」を計画しています。また、幼稚園は教科書がないので教材を作る大変さがありますが、その一方で教師が子どもたちを見て時機に応じた教材を作ることのできる楽しさもあるとのことでした。幼児は遊びを通して、もの・こと・現象・自然について様々な体験をします。そこに色々な発見・気付きがあり、様々な感情体験をすることから主体性・自主性・意欲・興味・関心・驚き・好奇心などが培われます。これらはすべて「学びの基礎」となります。

また、幼児は遊びでいろいろな人との関わりを学んでいます。友達、家族、地域の人たちと関わることで「愛されている」、「信頼感」などが育まれ、コミュニケーション力を身につけるようになります。

創作紙芝居について

幼稚園の教育は、遊びの中から学ぶという総合学習です。手裏剣遊びが幼児の中で流行り、教師がそれを活かした遊びへと発展させようと考え、忍者ごっこができるよう環境を整えていきました。「にんじゃりばんばん」の踊りも流行り出したので、運動会では忍者の修行の表現や「にんじゃりばんばん」の踊りを披露しました。運動会後、それまで自分たちが遊んできた経験を元にしてお話作りを始め、それを分かりやすく表現するために紙芝居作りを始めました。生活発表会で創作紙芝居を劇遊びにし、また、作った紙芝居もプロジェクターで映し保護者に披露しました。

高校生との出会い

芳泉学区では「人との関わりを通して、豊かに学ぶ子どもの育成」という教育目標があり、芳泉幼稚園では「身近な人との関わりを通して、伝え合う力を養い、温かい人間関係づくりに努める」ことを指導の重点としています。

今回の取り組みは、考えたことや感じたことを伝えようと幼稚園児の作った紙芝居が、高校生によってデジタル化されてスゴ~イ紙芝居になったということです。幼稚園児はその驚きや喜びを高校生に伝え、高校生はそのような幼児たちを可愛いと思い、お互いに温かい人間関係が作られることになりました。

芳泉地区は幼稚園、小学校、中学校、高校が隣接した非常に特徴のある地域です。この特徴を活かして幼稚園児と高校生の交流活動をすることは意義深いことです。一年を通じて取り組んできた忍者ごっこが、身近な人との関わりを通して、伝え合う力を養い、温かい人間関係づくりにつながる豊かな体験になりました。

本校生徒本校美術部、放送文化部の部員とのディスカッション

今後デジタル紙芝居を作る上での留意点や幼稚園児の創作紙芝居を作る上での留意点など、また地域との交流が幼稚園児にとってどのような意義があるのかなどについてディスカッションを行いました。幼稚園児の感性や高校生の感性がこのような創作活動を支えており、それが、直接会える身近な人たちとの交流のなかから生まれていること自体が一番の意義です。


今回の小講演会を通して、本校生徒が地域との交流から多くのことが学べるということが確認できました。また、身近なところから取り組みを通して深く学ぶことがこの小講演会の意義であるということも再確認できました。

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